ピアノは、指で鍵盤に触れるだけで音がなります。

お座りができるようになったくらいの赤ちゃんでも

一度鍵盤を押さえると音が鳴り

そして左右に動かしていけば旋律が奏でられます。

管楽器や弦楽器のように、音を出せるようになるまでに

時間もかからないし、テクニックも必要ありません。。。

誰でも簡単に、たとえ猫が鍵盤の上を歩いたとしても音がなる。。。。。

そのように思われる方の多い、今の現実です。

ああぁ。なんということでしょう。

ピアノは直ぐに音が出せるがゆえに、

どんな音を出すのか ということに注意が薄れがちです。

そして、いかに難しい曲をミスなく弾くことができるか

ということに傾きがちです。

もちろん、ミスなく弾けることは素晴らしく、

またミスの多い演奏は聴き辛いのですが、

しっかりと練習し、集中し、自信を持って演奏すれば

自然とミスも少なくなります。

いかにミスなく演奏するか。それも大切なことですが、

もっともっと大切なことがあります。

それは、

演奏する楽曲をどのように演奏するか ということです。

たとえば、どんな速さで、どんな強弱で、どのような音色で。

音色???と思われた方。そうです。音色です。

音色。

ピアノは直ぐに音が鳴りますが、

弾く人、弾き方、弾く人の気持ちで音が変わるのです。

例えば10人が同じ場所で、同じ楽器で同じ曲を弾いたとしても

皆、それぞれ音や演奏の仕方が違い、10通りの演奏があるのです。

そして楽曲を作曲した作曲家の思い、時代背景などをふまえて

こんな風に、こんな音で、こんな気持ちで・・・・・

と、自分なりの演奏をするのです。

そうして取り組んだ演奏は、たとえミスタッチがあったとしても

聴く人の心に響く演奏となることでしょう。

人の心に響く それが芸術といわれるものだと思います。

どんなに小さい子供さんでも、初心者の方でも

一音一音に気持ちを込めて、人の心に響く音を奏でて欲しい

と、常々思っています。

先日、通っている講習会で、「おまけコンサート」という形で

4人のピアニストの方々の演奏を聴かせていただきました。

もちろん皆さん、素晴らしい演奏で、

中でも、一番ご年配のピアニストの方の音が素晴らしく、

深みというか、年輪というか、その方の過ごされた人生の重みというか

もちろん演奏を聴かせていただいたのは初めてで

ましてその方のことは何も存じ上げませんが

当日は楽譜も置かれ、少しミスもありましたが

一番、心に響いた演奏でした。

久々の感動でした。