ピアノが上手、下手はどのようにして決まるのか

ピアノの上手、下手はどのように決まるのでしょうか。

例えば、ショパンの「英雄ポロネーズ」
(演奏時間6分ほどかかるとても難易度の高い曲)

をすごいテクニックで弾くAさんと、

同じくショパンの「子犬のワルツ」
(演奏時間2分にも満たない短い曲で読譜が簡単で小学生でも弾くことができる)

を楽しそうに弾くBさん。

英雄ポロネーズ

子犬のワルツ

多くの方は、難易度の高い「英雄ポロネーズ」をすごいテクニックで弾くAさん!

が上手と答えられると思います。

でも実は一概にそうとは言えないのです。

なぜでしょうか。

ピアノが上手ということ

ピアノが上手ということはどういうことなのでしょう

難しい曲が弾けるということではなく

簡単な曲でも、良い音で、心をこめて演奏することなのです。

教則本がどんどん進み、難しい曲を練習していると上手とは限りません。

同様に団体、企業が独自に行ってるグレードテストやコンクールに合格したからといって

上手という訳ではないのです。(さすがに世界3大コンクールは別ですが^^;)

教則本がどんどん進んでも演奏が雑だったり

グレードテストやコンクール用に、受かる!を目的とした

練習にかたよったりするのはとても残念なことです。

思いが音に表れて聴く人の心の響く演奏とは

音楽は芸術です。人と競争するとか、間違えないようにとか、

点数がつくとかそういったものではありません。

先ほどの例の「英雄ポロネーズ」と「子犬のワルツ」は全音楽譜出版社の難易度によると

「英雄ポロネーズ」は F
「子犬のワルツ」は C
※難易度は簡単な順にA(初級)~F(上級上)

となっています。

もちろん「英雄ポロネーズ」ほどの大曲は、よっぽどのテクニックがないと弾けません。

それが弾けるということは素晴らしいことです。

ですが、たとえ一音たりとも間違わずに弾けたとしても、

音が良くなかったり、自分よがりの演奏をしたり、冷たい演奏だったりすると

あまり良い印象を受けないものです。

 

それよりは、「子犬のワルツ」を、演奏者が心から楽しい!演奏できて嬉しい!

と思って弾いた演奏は、思いが音に現れて聴く人の心に響くのです。

ピアノを演奏することによって癒されたり、良い気分になったり、自分を表現できたりします。

簡単な曲でも、楽しそうに弾けたり、良い音で、心を込めて演奏できたりすることが大切です。

またそういう演奏ができると、聴き手の心にも響き、

聴く人も楽しい気持ちになれたり癒されたりするのです。

ちょっとした一言で演奏が見違えるほどよくなった話

こんなことがありました。発表会前のレッスンでのこと。

生徒さんは暗譜もできていて、しっかりと演奏できる状態でした。

でもどこか音が小さく、消極的な演奏になってしまっていました。

本人に聞くと「間違えないようにしよう」と強く考えていたようです。

間違えることを恐れるあまり、それが音にも表れてしまった例です。

※暗譜・・・楽譜を読めなくても演奏できること

そこで私は
「間違えても大丈夫。それよりもこの曲はとても楽しい曲だから〇〇ちゃんも楽しい事を想像して演奏してみて」
と言いました。

そういった直後の演奏は、さっきまでの演奏とは打って変わり、音が華やかになりました。

感情が音に表れた1つの例だと思います。

他にもオススメの方法があります。それは曲自体にストーリーをつけることです。

例えばさっきの「子犬のワルツ」なら小さな毛のフサフサな子犬が飼い主の周りを

嬉しそうに走ったり、くるくると回ったりする様子を思い浮かべながら演奏してみると

楽しい様子がきっと聞き手にも伝わることでしょう。

もちろん楽しく演奏するためには、しっかりと練習することも大切ですよ♪